和尚のミニ法話

「2016年03月」の記事

2016/03/18

復興への鳴鐘

ちょっと日が過ぎましたが・・・3月11日が来ると日本は悲しみと祈りにつつまれます。そして私も鎮魂と復興へのお祈りをしました。14時46分には大梵鐘を9声撞きました。もうあれから5年の歳月が過ぎたのか。昨日のことのような気もします。あの日私は、大崎中学校の校長室にいました。卒業式も終わっていましたので3年生はいません。2年生は翌日からの修学旅行に向けて午前放課。すぐ1年生の安全を確認して帰宅させました。被害が刻々と伝わってくる中、今から考えるとよく修学旅行に行けたなと思います。新潟から伊丹まで飛行機でしたので行けたんですね。新幹線利用の学校は行けなかったり、現地で足止めをくったりしたそうですから。事の重大性は帰ってきてからのことでした。福島からの避難者が三条にもたくさんきました。大崎中学校にも南相馬から3人の生徒がやってきました。元気で明るく過ごせるようにと結構気を遣いましたが、3人ともすぐ学校に慣れて友達もたくさんできたようでした。あの3人も今は20歳です。元気でいるでしょうか。
また、避難者支援といえば大げさですが、お寺の草取りや窓拭きのアルバイトを避難者の方に頼みました。避難者も支援(布施)をいただくだけでなく、自分が役に立っている経験が必要だとニュースで知り、その通りだなと仕事を頼んだのです。翌年も来ていただきました。あの方々も元気でお過ごしでしょうか。節目の5年が過ぎましたが復興への道のりはまだまだのようです。私にできることは・・・・。とにかく心が離れないようにしていきたいです。

2016/03/06

行李の中身

智玄さんが上山して2週間。元気でがんばっているでしょうか。連絡の取りようがないので「便りのないのは良い知らせ」と思うしかないのです。ある期間が終わるまでは、こちらから電話をかけても取り次いでもらえませんし、手紙も渡してもらえません。檀家さんとの話でよく出てくるのがこのことで、ケータイも持っていけないのかと皆さんびっくりされます。お金も持っていけませんので、途中で帰ろうにも電車賃もありません。では、いったい何を持って行っているのかということですが、本山から指定されたもの以外は一切ダメなのです。本山から送られてくる「掛搭(かた)志願者心得」には、こう記されています。
〇袈裟行李(けさこうり)  首から下げる前の行李の中身は、
 ・お袈裟と袈裟袋 ・龍天善神軸 ・血脈 ・涅槃金千円 ・保険証 ・印鑑 ・ゆうちょ通帳 ・応量器(おうりょうき 食器のこと)一式 ・上山許可状 ・堂則
〇後付行李(あとづけこうり) 写真のように背中に背負う行李の中身は、
 ・坐具 ・浄髪具(安全カミソリと替え刃) ・日用品(裁縫道具、歯ブラシ、歯磨き剤、』風呂敷、白無地タオル2枚) ・替えの下着2組 ・襪子(べっす) ・足袋
と、これだけです。
蒲団類や作務衣、着物、下着、祖録書籍などはあらかじめ宅配便で送ります。この宅配便の中にケータイやお菓子などを忍ばせればとも思いますが、荷物点検があり見つかると大目玉をくらうことになります。永平寺の大目玉は相当大変な罰を受けることになりますので、親心でそっと、というわけにはいかないのです。要するに修行に不要なものは一切ダメということです。必要最低限で頑張ってもらうしかありません。